インタビュア:ハノイ、ハロンベイの2店に続き、ホーチミンで3店舗目を開業と、ベトナムで順調な事業展開をみせていますが、ベガスベガスがカジノ事業へ進出した経緯を教えてください。
ベガスベガスの基本ビジネスはパチンコのホール運営事業です。この事業を進めていく上で未来を考えた時に、やはり行き着くところはカジノ。すでに日本の先駆け的にカジノ事業を展開している日系企業もあったので、我々も挑戦したいという思いの中、いろいろな縁もあってカジノ事業をスタートするに至りました。
―カジノを開業できる国はアジア圏でも複数ありますが、その中でなぜベトナムを選んだのでしょうか?
経済成長が著しく、Eゲーミングも盛んなうえ、弊社の代表である高橋秀之がベトナムに縁があったことが大きいですね。とくにコネがあるわけでもなく、さらにカジノ経営の経験もなし。最初はベトナムに行くことを悩みましたが、「お前が行けばなんとかなるんだ」という理由で自分を選出してくれた高橋の気持ちはわかっていたので、協力して夢を叶えたいと考えました。そして、そのためには自分が行くしかない……という思いで第一歩を踏み出しました。
―「ハリウッドワン ハロンベイ」は2017年オープンですが、開業までに苦労した点などあれば教えてください。
私が視察のために訪越したのは約7年半ほど前。その頃のハノイはまだまだ日本の昭和40年代のイメージです。食生活をはじめ、いろいろとカルチャーショックを受けたのを覚えています。とはいえ、ベトナムの方は皆さん親日家なので住めば都、医療体制以外はとくに文句はありませんでしたね。駐在を始めたのは約6年前。とくに苦労したのが、公的機関の悪い意味でのベトナムらしさです。ビジネスのライセンスひとつ取得するにも、日本のように単純に申請すれば良いわけではないんです。もちろん、言葉や文化の違いで手間取ることもありましたが、政府を含めて話が2転3転することがあたりまえなんです。担当者のさじ加減でいろいろ話が変わってしまので、ひとつの許可、契約を取ることにとても苦労させられました。
―すでにライセンスを持っている人から購入するなど、事前にルートを確保している企業もありますが、御社は本当にゼロからのスタートだったんですか?
はい。もともとはライセンスがすぐに取れるという方と接点があったのですが、蓋を開けてみれば頼りにならず、ゼロからのスタートでしたね。ベトナムで事業展開する際に大切なのは、どのルートが最短なのかを見極め
ることです。何か事業を始めようとすると、「その事業の許可を取る人を知っています…」といった感じで近づいてくる人がいますが、実際は親戚の友達であったり、友達の知り合いであったり、ほとんどが期待できません。最短
ルートを見つけることを一歩でも間違えると、騙されたり、延々とオープンできなかったりと、散々な目にあってしまいます。そのベストな最短ルートを探すのが大変でしたね。
―2号店のオープンやホーチミンへの展開も積み重ねた経験があるからこそなのでしょうね。
ベトナムは社会主義なので、上が言うことは絶対なんです。店舗運営に関わる重大なことでも、突然変更を求められたり、最悪は閉店を告げられる。日本では起こりえないことが平然と起こります。そんな状況変化への対応能力がすごく磨かれ、貴重なノウハウとなりましたね。3店舗目となる「ギャラクシーサイゴン」は、2店舗の経験を活かして、MAという形で引き継ぎました。
―ベトナムに進出して良かった点はどんなところでしょうか?
親日国家なので、 スタッフを含めて管理がしやすいことと、 やはり人件費の安さですね。法律上、 ベトナム国籍の方はカジノを利用できないため、お客様は海外の方ばかりです。そのため、お客様の使う単価は他国のカジノと変わらなくても、 人件費はベトナム基準ですから、必然的に利益率は高くなります。とはいえカジノ税で45%取られてしまいますが(苦笑)。
―日本のパチンコ店を例にした場合、ベトナムの人件費はどのぐらい安いのでしょうか。
パチンコホールにおける平均月収を30万円程度と考えると、その20%程度ですね。それでもスタッフは、 ベトナムの平均月収以上に稼げています。加えて、 チップもしっかり分配しています。この業界は24時間3シフトで大変ですが、給与面では不満はないと思います。