カジノIR

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カジノIRはナイトライフを活性化させる

「カジノIRはナイトライフを活性化させる」の概要

カジノIRは日本のナイトタイムエコノミーを活性化させる上でも欠かせない。キーワードは「回遊率」。 日本のエンタメの集積地となり、 夜を明るくせよ!

ナイトタイムエコノミーという言葉を知っているだろうか?

観光庁によれば、「文化・経済の両面でまちを活性化させ、今後の経済を支える重要なテーマです。ナイトタイムに行われる様々な活動から、未来の文化が生まれてゆき、そのまちの顔となる文化へと発展することにより、国内外の人々を魅了し、引きつける大きな可能性があります」ということらしい。相変わらず、説明がまわりくどい。

端的に言えば、「夜間」という新たな時間市場を開拓することで、消費拡大を実現するということだ。

少し想像してほしい。皆さんが、地方へ旅行や出張に出かけたときのことを。飲食店でお酒やご飯を楽しんだ後、「もう一軒」なんて気持ちで街を歩いてみるも、ほとんど明かりは消えている——。

あるいは、どうやらお店はやっていそうだが、常連客ばかりで敷居が高そうだし、店内の雰囲気がわからないので気が引けてしまう。そうして、仕方なくホテルへ戻る。

本来であれば、もっとお金が落ちたかもしれない。しかし、コンテンツが少ない、情報が少ない、閉鎖的な雰囲気などの理由から消費が鈍ってしまうケースは多く、それらを解消するために、政府は現在、観光における成長戦略の柱としてナイトタイムエコノミーを掲げているというわけだ。

こうした夜間の活性化は、国内需要だけにとどまらない。コロナ禍によって、インバウンド(訪日外国人旅行者)は急減してしまったが、2030年までにインバウンドを6,000万人まで増加させる目標は、今なお変わらない。

事実、訪日観光の振興に注力し続けた結果、2018年には初めて3,000万人を突破するなど成果も表れている。その一方、消費額は伸び悩み、1人当たり旅行支出は15万8,531円(2019年)。オーストラリア(24万8千円)、英国(24万1千円)、フランス(23万7千円)といったその他先進国に大きな後れを取っている。

興味深いのは、その内訳だ。図1は観光庁発表の「訪日外国人旅行消費額の費目別構成比」だが、「娯楽等のサービス費」が圧倒的に少ないことがわかる。また、図2「海外で体験した vs 日本で体験したコンテンツ」という項目を見ると、「ナイトショー」、「ナイトライフ」、「ナイトコンテンツ」という言葉が並ぶ。いかに外国人たちが、訪日観光の夜間に対して物足りなさを感じているかがわかる。彼ら彼女らは東京や大阪といった人気観光地を体験した上で、「娯楽等のサービス費の支出が少ない」、「夜間の娯楽性に乏しい」という事実を突き付けているのである。

東京や大阪といった都市部であっても、外国人からすれば、「あまり英語が通じない」、「無料Wi-Fiスポットが少ない(情報をその場で調べられない)」という状況下にある。都会に暮らす私たちが地方へ行くと感じる敷居の高さやアウェイ感、それと似たものを彼らも抱いているのかもしれない。だからこそ、オープンで安心して楽しめる「ロボットレストラン」のようなコンテンツが、インバウンドから大きな人気を集めていたという点を考えなければいけない。

1人当たり旅行支出を増やす。そのためには、夜間の消費増加が欠かせない。先の観光庁がインバウンドに行ったアンケートでは、「最近行った(日本以外の国・地域への)海外旅行についてお聞きします。旅行先で以下を体験しましたか。あてはまるものを全てお選びください」という項目もある。1位がガイドツアー(49%)、2位がナイトライフ(37%)である。4位にナイトショー(29%)もランクインしている。こうしたナイトタイムの娯楽不足を解消する——、その意味でもカジノIRへの期待は大きい。

前頁で触れたようにカジノIRは、レストランやアミューズメント施設、ライブ会場などを併設した巨大リゾートだ。あらゆるエンタメコンテンツが集積するというのは、とても大きな可能性を秘めている。

たとえば、大きなライブ会場で人気のアーティストがパフォーマンスを行っているとする。その隣の中規模な会場では、注目株のアーティストがライブを行い、小さい会場では期待の若手がステージに立つ。

フジロックフェスティバルのタイムテーブルを想像するとわかりやすいだろう。メイン会場はグリーンステージ、各会場がホワイトステージ、レッドマーキーという具合に時間帯ごとに出演者が交代し、さまざまなパフォーマンスをする。音楽、ダンス、演劇、お笑い、格闘技、ミュージカル、サーカス、大道芸なんでも構わない。

そういったパフォーマンスが365日行われ、ナイトタイムを充実させる。まだ人気のないこれからのパフォーマーたちに経験を積ませることができるだけではなく、セレンディピティよろしく新規顧客の開拓にもつながる。出演者のギャランティーも心配無用だ。大きな収益エンジンであるカジノがあることで、末端の出演者にいたるまできちんとした設計を可能にする。

また、これから作られるという点も、とても大きなメリットとなる。ICTやテクノロジーを駆使することで、IR内で行われているパフォーマンスを世界に向けてライブ配信することもできるだろう。世界から投げ銭が集まる…想像しただけで夢が膨らまないだろうか?

CASINO japan Vol.31に掲載中!

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この記事の監修者

日本で唯一のカジノ専門誌「CASINO japan®」の発行主として、日本のカジノIR業界の情報を毎日発信しています。

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