インタビュアー:LT Game Japanと言えば、カジノ市場へゲーミングマシンを供給しているメーカーとして知られていますが、そもそもゲーミングマシンを開発するに至った経緯を教えてください。
平田:LT Gameは代表であるJay Chun氏と弊社代表の木村寿ーが設立したゲーミングマシンメーカーで、マカオのカジノ市場にバカラマシンやターミナルなどを供給して成功しています。また、両氏はMGEMA (マカオ娯楽設
備協会)の会長と副会長の立場にもあります。バカラマシンの成功の次に、スロットマシンを一緒に作ろうという話になり、弊社代表の木村寿ーがLT Game Japanを設立するに至りました。我々が開発したマシンは、LT Gameブランドとして日本独自のコンテンツとアミューズメント機器開発で培った「ものづくり」の技術を活かし、よりアミューズメント性・エンターテイメント性に優れたカジノ用ゲーミングマシンの供給をアジア及び北米まで展開しています。
―平田様自身はシグマに在籍していた頃から、カジノ向けゲーミングマシンの開発に携わっていたのですか?
はい。当初シグマでは、ラスベガス市場に向けたポーカーマシンの開発を下請けに任せていましたが、 自社でスロットマシンを開発しようということになり、 社内でチームを立ち上げることになりました。もう40年ぐらい前ですが、 私も開発メンバーとしてチームに参加。それまでアミューズメント向けのビデオゲームは開発していたものの、カジノマシンの開発はまったく経験なし。遊んだことはもちろん、 ラスベガスにさえ行ったことがなかったので戸惑いましたね。そこから経験に経験を重ね、今に至るといった感じです。
― その40年にも及ぶ経験とノウハウが、 LT Game Japanのマシンに活かされているのですね。
そうですね。とくに「RGX-1000シリーズ」は長年のノウハウの集大成だと思っています。
―「RGX-1000シリーズ」と言えば、画面を覆うシャッターギミックや落下するサブモニターなど、日本のパチンコ、パチスロでお馴染みの役物やギミックを搭載したマシンとして人気ですが、それを起用した狙いは何だったのでしょうか。
カジノのスロットマシンを開発している企業は、アジアや欧米をはじめ世界中にあります。その中で新しいマシンを輩出しても、砂漠の中のダイヤのようにあっという間に埋もれてしまうんです。見向きもしてもらえないものを開発しても意味がないので、 MADE IN JAPANの象徴ともいえるパチンコの役物やギミックを武器に、まずは注目を浴びるのが狙いでした。
―カジノでは希少な稼働役物を搭載したマシン。その反響はいかがでしたか?
実はシグマ時代、 マレーシアの企業から開発依頼を受けた際に、 やはりパチンコの要素をいっぱい盛り込んだマシンを開発したことがありました。予告を入れてみたり、 出目が確定するまでに溜めを作ってみたり。でも、それが大変不評で(笑)。これはカジノマシンではなく、 アミューズメントマシンだと拒否されて、結局全部取り外した経験があったんです。そんな経緯から今回も最初は不安がありましたが、 カジノの展示会に出展した際は実に好評で、狙い通り十分なインパクトを与えられました。
―カジノ市場も時代によって求められているものは変化しているのかもしれませんね。今後はカジノマシンにも、よりエンターテインメント性が求められたり。ちなみに素人的な質問で申し訳ないのですが、カジノのスロットマシンには、かつて日本のスロットに起用されていたストック機能や天井機能のようなものってあるのでしょうか。リセットから特定ゲーム消化や、特定枚数使うと当たるみたいな。
大前提として、 日本人と欧米人では当たりに関する考え方が真逆なんです。日本人は先に 「777」とか当たりを決めて、 当たりが出ると何枚の払い出しになるのか。そのためにはどうリールを止めようかと。そこに演出を入れていったりするわけです。しかし欧米は、リールを止めるストップポジションを乱数で決めるだけなんですね。後は止まった結果を参照し、当たりかどうかを判断する仕組みです。当たりはあくまで結果として出るものになります。
―なるほど。後者であるカジノマシンは当たりを狙い撃ちはできないと。
そうですね。しかし、 今までは前のゲームと次のゲームには何かしらの因果関係があってはいけなかったのですが、 最近はレギュレーションで認められつつあります。また、スキルが関与する仕組みもNGでしたが、 これも最近ではOKになりましたね。
―根本的なところは変わらずとも、ゲームに連続性を持たせることでエンターテインメント性はより増しますよね。カジノマシンのゲーム性にパチンコの演出をプラスした「RGX-1000シリーズ」。カジノに行かない人でもちょっと遊んでみたいと思う方は多いはずです。それを叶えたのが、アミューズメントスポット向けにAMマシンやプライズの供給を行っているフロックということですね。
4年前にマカオで開催された「MGS」の弊社ブースで、 高倉さんと偶然再会したのがきっかけに、メダルマシン化が実現しました。
―お二方はシグマの同朋ですからね。フロックからは「 FLX(フレックス)シリーズ」として「 RGX-1000シリーズ」を開発・販売するそうですが、メダルゲーム市場が低迷している中、新機種を輩出するに至ったのはなぜでしょうか。
高倉:単純に 「RGX-1000シリーズ」が魅力的だったこと、 多くの方に遊んでいただきたいと思ったことが第一です。そのうえで、 長年メダルゲーム市場に携わっている中で、ここ10年ほど新機軸の製品が出ていないことを心配していました。シングルメダル機は初期投資こそかかりますが、 一度お客様がつけば、 長期間遊んでもらえる実力を持っています。 LT Game Japan様のマシンを市場に投入することで、 あらためて見直していただき、 メダルゲーム市場復活の起爆剤になれば幸いですね。