ポーカーの素晴らしさを伝えたい!
この特集企画は、ポーカーは人生すら変えてしまうほど魅力的なアイテムであると広めるコトをコンセプトとして、ポーカーをプレイすること、またビジネスとしていくことを推奨するものなので、ポーカーを上達するための技術書や戦略書ではないことを予め理解して頂きたい。
もちろん、ポーカーが強くなることは理想だし、大切なことだけど、そこはパンローリング社から出版されている専門書を読んで頂いて、インターネットで検索して有効なコンテンツを見て頂くとして、こちらは肩の力を抜いて読んで欲しい。
さて、テキサス・ホールデム(Texas hold’em)というルールのポーカーが人気を集めている。感度が高めの人であれば、一度は耳にしたことがあるのでは? 優秀な頭脳を活用して、巧みに人を騙して、機転の利かない人からチップを巻き上げる崇高な遊び…ではなくて、運と駆け引きを巧みに使って、論理的で数学的な根拠に基づいて判断していく知的ゲームの集大成である。
とにかく抜群に面白い! 本誌を読むことを一旦止めて、近くのアミューズメントポーカー店舗を検索して、店舗に「初心者です!」と言って、1時間ほど遊んでもらう方が伝わるかとか思うけど、とにかく、そんなレベルで魅力的なゲームなんです。実は某有名ファミコン雑誌の創刊時にゲーマーとして採用されて、そこから35年ほどゲーム業界をさ迷ってきた僕が、人生で最も面白いゲームを選ぶとしたら自信を持って「テキサス・ホールデム!」と叫びます。
かれこれ15年くらい夢中になっています。僕は6年前までニュージーランドのオークランドという街に住んでいて、毎日のようにスカイシティーの中にある、ポーカールームへ通い、自分に課した1日100ドルを稼いで止めるという修行を重ねていました。なんだかんだと、月に5,000ドルはポーカーによる収入がありました。チョロいものです。
だけど、欲に目がくらみ、もっと稼ごうとすると、質素な食生活を課されるレベルで負けることもありました。ニュージーランドのみならず、ラスベガスやマカオでもポーカーではボチボチ勝ってます。勝ってますと言っても、日本円で数万円といった金額ですけど、ポーカープロとして食っていくつもりはないので満足です。強いて言うなら、ポーカーで勝ったお金をスロットマシンに入れる行為は金輪際やりません。
海外のポーカールームでは、他のプレイヤーとカタコトの英語で話して、この周辺に美味しい店はあるの?なんて聞くと、ガイドブックには出ていない、レストランを紹介してくれたり、一緒に行こうと誘ってくれたりもします。こんな出会いこそポーカーの醍醐味の一つです。実は、本誌でインタビューさせて頂いている負野さんも、5年くらい前にマカオのポーカールーム で出会いました。
海外のポーカールームで日本人に会うと、近所の友達に会ったくらいの感覚で話してしまいます。国内のアミューズメントポーカー店舗で仲良くなった人たちも大勢います。本誌でインタビューさせて頂いた竹田君とは10年以上の付き合いになります。最近でも、知り合った方々と一緒に食事したり、反省会をしたり、1人で黙々とプレイするのも面白いと思いますが、やっぱりポーカーは究極のコミュニティツールであると僕は考えるので、ポーカーを通じて人と出会い、そして楽しむことを理想とします。
アミューズメントポーカーという存在
トランプを使うポーカーという名がつくゲームは、世界各国で無数にあるけれど、世界で1億人以上の競技人口を持つといわれるテキサス・ホールデムポーカーこそが世界標準のポーカーゲームだといえよう。
僕は15年くらい、日本のポーカー業界を眺めてきたけど、この1年間は、過去最大規模のポーカーブームだと思う。週末に都内のアミューズメントポーカー店舗に顔を出せば、その熱量を感じることができるだろう。
実際に店舗経営者たちと話すと、売上は右肩上がりだという。新規顧客も増え続けているようだし、なにより若い客層が増えているということは、今後も成長が止まらない証といえよう。
そもそも、お金を賭けずに楽しもうというアミューズメントポーカーなるものが存在するのは、世界でも日本だけ。
余談になるけど、カジノが存在しなかった日本で、株式会社シグマという会社(後のアドアーズ株式会社)の真鍋社長(故人)が、1968年にボーリング場の片隅へスロットマシンなどを設置して、メダルを1枚20円で貸し出す事業を行なったことでアミューズメントカジノが誕生した。
その後、1971年には新宿歌舞伎町に大型ゲームセンター「ゲームファンタジア・ミラノ」をオープンさせた。まだ、スペースインベーダーが誕生する前で、テレビゲーム単体の施設なんて誰もが想像していなかった時代のこと。大人向けのゲームセンターは、多くの日本人がゲームセンターという存在を知らなかったこともあり、スタート時は苦労したが、1ヶ月後には連日満員の大騒ぎとなった。開店前に予想されていた800万円という月間の売上目標を大きく上回り、初月の売上は4,000万円に達したという。当時の記録によると、「警視庁へ事前確認に行った際も、止める法律はないが、ビジネスとして成り立つとは思えないとも言われた…」と記されている。換金しない、景品も出さないといった斬新な遊びの提案は、カジノを知らない日本人だからこそ、広く受け入れられ、全国にメダルゲームという日本独自のアミューズメントカジノ文化が根付いていったんだと思う。
現在のアミューズメントポーカー店舗も基本的な概念は一緒。換金しない、景品も出さないという前提で、「風営法5号営業許可(ゲームセンターと同じ)」を取得する形で営業を行っている。この法律が適正か否かという論争は別の機会に行うとして、この法律に則ってアミューズメントポーカー店舗は営業されているのだ。全国で大阪府のみ、同時に「風営法1号営業許可(キャバクラと同じ、接待を伴う営業許可)」を必要とする特殊な状態にあるようです。
大阪独自ルールってやつですね。大阪では、最初にアミューズメントカジノを出店した際に、女性ディーラーを置くことになって「接客するんやろうから1号許可もいるやんか(イメージ)」ということで、このような形の許可申請になった模様。アミューズメントポーカー店舗は、風営法5号営業許可に基づき景品類を提供できない。
現状では、店舗主催のイベントで勝利した方には、店舗経営者とは資本関係のない別の主催者によって、別会場で開催される大きなイベントに参加できる推薦枠があって、推薦を行なっているという形になっているようです。
これは「参加券」ではなく、「優秀な結果を出しているので推薦します」といった「推薦枠」であって、無価値なものなので、商品や景品ではないとされ、認められているようです。
もちろん、この「推薦枠」は売買できないし、譲渡することも禁止となります。「推薦枠」を得た人は、店舗経営者とは異なる、第三者が主催するイベントに参加することになります。
第三者が主催するイベントは、風営法管轄による飲食店が営業するものではなく、イベントとして申請され、開催されるようです。
このイベントで提供される賞金や商品は、このイベント主催者とは別のスポンサー企業から提供されるものになります(ややこしくなってきた)。これは、ゴルフや格闘技イベントでも行われていることですね。(なお、特定の店舗やイベントの情報ではありません)。この辺りの法律に絡んだ話に関しては、近い内に専門家へ取材して、改めて報告したいと思います。
ポーカービジネスは儲かるのか?
このようなポーカー人気を背景に、「アミューズメントポーカー店舗って儲かるんですかね?」と聞かれることが増えてきました。何を指して儲かっているというか、難しいところだけど、大きく失敗している話は聞かないので、悪くはない状況にあるのではないかと思います。しかし、実際に店舗運営を検討するにしても、人材確保の問題など様々な問題をクリアする必要があります。